日本財団 図書館


 

現象が断片的に発生することから得られる波高記録上で見かけ上、波の周期が長くなるので注意が必要である。

 

この方式は気象庁や港湾局で沿岸波浪計として標準的に用いている方式で、代表的な仕様は、周波数:200kHz、パルス発射繰り返し数:毎秒5回、半減指向角:3°である。実用的には水深が50mより浅い所で用いられる。50mの深さに設置すると、指向角が3°であるから海面での反射面は直径5mの円となり、この面内でセンサーとの距離が最も短い部分からの反射信号が測定される。従って波長が短い波程誤差が大きくなるが、周期5秒以上の波についてはその誤差は無視できる。

 

圧力式の波高計と超音波式の波高計の短所と長所を生かすため、複合型の波高計が開発されている。

 

1.1.2 海面における測定

長所:波浪を水面で直接に測定する意味で精度がよい。

短所:暴風や高波の力を直接うけるので機器故障が起こり易い。

(1) 容量式/抵抗式波高計

原理:空中の固定点から電気容量ワイヤあるいは電気抵抗ワイヤを水面を通して鉛直に張り、水面に浸った長さに比例して電気容量あるいは電気抵抗が変化することを用いる。

長所:精度がよい。

短所:センサーを固定する観測支柱が必要で、比較的浅い海で、センサーを固定する観測支柱を設置できるか、海洋観測塔など既設の海洋構造物を必要とする。

また、高波の衝撃によってセンサーの障害が起り易く、センサーの汚染、漂流物の附着等常にセンサー状態に注意をする必要がある。

(2) ブイ式波高計

? 加速度センサー方式

原理:上下方向の加速度を検出する加速度計を、海面に正確に追随するブイに搭載し、その得られた加速度を2回積分して海面の上下変位を求める。

長所:精度がよい。

短所:特定地点の観測には係留する必要があり、加速度計の姿勢を常に鉛直にする仕組みが面倒である。また、船舶等による衝突による破損や暴風高波による流失があるほか、電波障害による欠測が生じる

? 水圧センサー方式(吊下げ式波高計)

原理:海面に波が存在していてもある程度の水深では水深に比例した水平に分布する等圧面がある。海面を波により上下運動するブイより吊下げられた水圧センサーが示す値を水深に換算し、上下運動の大きさを水深の変化から知る。

長所:構造が比較的簡単

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION